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2018年4月9日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
空運各社の格付見直し結果
発行体 証券コード 長期発行体格付 見通し
日本航空株式会社 9201 【据置】 A 安定的
ANAホールディングス株式会社 9202 【据置】 A 安定的
(個別債券の格付など詳細については3ページをご参照ください)
■格付の視点
(1) 日本格付研究所(JCR)は空運各社の長期発行体格付を見直し、日本航空、ANA ホールディングスともに格
付を据え置き、見通しを安定的とした。今後も業績が堅調に推移し、良好な財務構成を維持できるとの見方
が、今般格付を据え置いた主因である。両社とも 17 年の格付レビューにおいて 1 ノッチ格上げした。その
後の業績は順調に、財務諸指標は安定的に推移している。また、18年に公表された各社中期経営計画につい
ても国際線旅客事業の強化など従来方針と一貫しており、財務リスクも考慮した事業展開が図られる見込み
である。
(2) 両社の中期経営計画は、羽田空港発着増枠の配分を見据えた先行投資の位置づけとみられ、業績は踊り場を
迎える可能性がある。ただ、費用増加が想定されるものの、好調な旅客需要に加え、ITの活用や新システム
導入など生産性向上の取り組みによって吸収可能と想定される。国際線旅客事業の強化などの施策を着実に
遂行し、利益拡大と財務基盤強化が一段と進むか、フォローしていく。また、中長期的には需要が変調をき
たす局面でも需給調整能力を発揮し、利益低下をいかに抑制できるかといった対応力の巧拙も注目される。
(3) 財務諸指標は各社とも良好な水準にある。潜在的に戦争、テロ、疾病の発生などイベントリスクに引き続き
留意する必要があるものの、リーマンショック以前と比べ自己資本の厚みや同比率が大幅に改善されており、
財務耐久力は向上している。中期的には、成長に向けた機材投資の増加や株主還元の充実化が見込まれる。
各社とも自己資本比率の一定水準の維持といった具体的な数値目標を明示しており、財務の健全性にも配慮
した運営が行われる可能性が高い。
(4) 世界の空運業界は旅客数が伸びる中、燃油費負担も過去と比べ軽減されており、良好な収益環境下にある。
国土交通省が18年3月に公表した17年航空輸送統計(暦年)によると、国内定期航空輸送及び国際航空輸
送実績(本邦航空運送事業者によるもの)の旅客数はともに 12 年以降、増加傾向を維持している。今後も
世界経済の緩やかな回復や東京オリンピック・パラリンピックの開催などにより、旅客需要は堅調に推移し
ていく見通しである。事業環境における今後の注目点は、20年頃に予定されている羽田空港発着増枠の配分
である。利便性の高い羽田空港発着の路線拡充は各社の収益力強化に資するとみられ、配分状況をフォロー
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■各社の格付事由
日本航空
【据置】
長期発行体格付 A
格付の見通し 安定的
(1) 国内大手航空2社の一角。国内線は大手2社の寡占状態にあり、事業基盤が安定している。国際線では世界
的な航空連合「ワンワールド」への加盟や有力エアラインとの提携を背景に充実したネットワークを構築し
ている。10 年に会社更生手続の申立を行い、11 年に同手続が終結、12 年には東証一部に再上場を果たした。
同手続を通じ、資産のスリム化が進むとともに収支構造が抜本的に見直され収益性の高い会社となっている。
(2) 人件費や整備費などの負担増が本格化し、これまでの最高益であった 16/3 期と比べ、利益水準は低下して
いる。しかし、利益水準自体は依然良好であり、高い利益率も維持できている。今後も収益性重視の下、顧
客満足度の向上や高イールド旅客の獲得などに注力することで着実に収益力を強化できると考えられる。ま
た、財務内容については健全である。キャッシュフローの自由度を確保しつつ、計画された機材投資や株主
還元の充実化を進めていくとみられ、財務諸指標が悪化する公算は小さい。以上より、格付を据え置き、見
通しを安定的とした。
(3) 18/3期経常利益は 1,580億円(会社計画)と公表されており、2期連続の減益となったもようである。ただ、
売上高経常利益率は引き続き 10%台と高い収益性を維持できたとみられる。19/3 期はシステム立ち上げな
どの先行費用負担が一巡してくる上、国際線旅客事業の拡大などにより、利益回復に転じる可能性が高い。
海外旅客需要の獲得やシステム投資効果に伴う採算性の向上などの進捗をフォローしていく。
(4) 再 上場後 は手 元流動 性が有利 子負債 を恒 常的に 上回り、 実質無 借金 となっ ている。 また、 自己 資本比 率が
14/3期末以降50%台で推移するなど財務諸指標は良好である。19/3期~21/3期は総額6,600億円の設備投
資計画に加え、特別成長投資枠 500 億円を確保し、株主還元のさらなる充実化も図る方針である。ただ、
13/3期以降の営業キャッシュフローは年間2,000億円強で推移している。今後のキャッシュフロー創出力や
潤沢な手元流動性も踏まえると現状の財務内容を維持できる見込みである。
ANAホールディングス
【据置】
長期発行体格付 A
格付の見通し 安定的
債券格付 A
(1) 国内大手航空2 社の一角である全日本空輸を傘下に擁する持株会社。当社が有する機能は資金調達、航空機
の保有、経営資源の配分などである。グループの一体性が強く、格付にはグループ全体の信用力が反映され
ている。全日本空輸は座席キロ、旅客数などで国内トップシェアを占め事業基盤が安定している。世界最大
の航空連合「スターアライアンス」に加盟し、利便性の高い羽田空港発着路線で高いシェアを確保している。
また、17年4月に連結子会社化したPeachとVanilla Airの経営統合を18年3月に公表した。
(2) 収益力の強化が進んでおり、今後も堅調な業績と良好な財務構成を維持できる見通しである。国内線旅客事
業が底堅く推移する中、国際線旅客事業はネットワークの拡充が奏功し、今後も業績拡大を牽引していくと
想定される。また、Peach を傘下に加えたことで一段と多様な事業展開を可能とし、収益基盤の拡充も図ら
れる見込みである。一方、収益成長に向けた機材投資が加速する計画にある。ただ、財務内容の健全性に配
慮した経営方針の下、キャッシュフロー創出力も向上しており、財務リスクの抑制は可能と判断される。以
上より、格付を据え置き、見通しを安定的とした。
(3) 18/3期経常利益は 1,500億円(会社計画)と公表されており、3期連続で過去最高益を更新したもようであ
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対応を進めていく見通しである。好調な日本発ビジネス旅客需要や旺盛な海外発訪日旅客需要を取り込み、
今後も底堅い業績を維持できる可能性が高い。海外旅客需要の獲得や傘下のLCC2 社統合の効果などの進捗
をフォローしていく。
(4) 自己資本比率は 09/3 期末 18.3%を直近ボトムに 18/3 期第 3 四半期末 40.7%まで向上した。設備投資は
19/3期に機材購入を中心に3,900億円を計画しており、20/3期以降も3,000億円台が継続する見通しである。
フリーキャッシュフローについては 19/3 期に赤字が見込まれるとはいえ、20/3期以降黒字化させる計画で
あり、有利子負債の増加は一時的にとどまるとみられる。中期的には利益蓄積が順調に進み、自己資本比率
で40%程度を確保できると想定される。
(担当)水川 雅義・小野 正志
■格付対象
発行体:日本航空株式会社
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 A 安定的
発行体:ANAホールディングス株式会社
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 A 安定的
対象 発行額 発行日 償還期日 利率 格付
第 26 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
100 億円 2008 年 6 月 3 日 2018 年 6 月 1 日 2.45% A
第 29 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
300 億円 2014 年 3 月 6 日 2024 年 3 月 6 日 1.22% A
第 30 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
150 億円 2014 年 9 月 18 日 2026 年 9 月 18 日 1.20% A
第 31 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
300 億円 2015 年 6 月 22 日 2019 年 6 月 21 日 0.376% A
第 32 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
200 億円 2016 年 6 月 9 日 2036 年 6 月 9 日 0.99% A
第 33 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
200 億円 2016 年 9 月 12 日 2020 年 9 月 11 日 0.258% A
第 34 回無担保社債(社債間限定同
順位特約付)
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格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2018年4月4日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:窪田 幹也 主任格付アナリスト:水川 雅義
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の 種類と記号の定義」(2014年1月6日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、 「コーポレート等の信用格付方法」(2014 年 11 月 7 日)、「空運」(2011 年 12 月 7 日)、「持株会社の格付方法」 (2015年1月26日)、「国内事業法人・純粋持株会社に対する格付けの視点」(2003年7月1日)として掲載してい る。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) 日本航空株式会社
ANAホールディングス株式会社
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・格付関係者が提供した監査済財務諸表
・格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. JCRに対して直近1年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCRが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCRは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCRは、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCRの格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCRの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCRの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCRが保有しています。JCRの格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCRに無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO 登録状況
JCRは、米国証券取引委員会の定めるNRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の5つの信用格付クラスのうち、以下の4クラス に登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)
項に基づく開示の対象となる場合、当該開示はJCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026